2026年8月20日木曜日

介護シリーズ No.13 ~16 まとめ

No.13 介護シリーズ 親が認知症になる前に子どもがやるべきこと

司法書士しげもり法律事務所の代表の繁森一徳氏は、相続遺言の専門として、日々多くのご家族から相談を受けていますが、最近特に増えているのが、「親が認知症になって、預金が引き出せなくなったとか、実家を売ろうとしたら、出来ないと言われた」というご相談です。
 
 「家族なのだから、親のキャッシュカードを使ってATMで引き出せばいい」という世間一般に蔓延している。グレーな常識は、実は重大な規定違反であり、最悪の場合は口座が完全にロックされてしまう危険な行為です。

高齢の親御さんが認知症になると、預金・不動産などの資産が実質的に動かせなくなるいわゆる「資産凍結」リスクがあります。これは金融機関が「本人の意思確認ができない」と判断するためです。

その結果、①預金の引き出しができない ②不動産の売却ができない ③介護費用の支払いに支障が出るといった現実的な問題が起こります。これを防ぐための「事前対策」はいくつかあり、重要度の高い順に分かりやすく①~⑤に整理します。 

表1 家族信託と任意後見人制度の違い

項目

①    家族信託 (近年人気・柔軟)

②    任意後見制度(最も基本で確実)

概要

実務的には今一番よく使われている方法で、今と将来の両方に対応できる仕組み。例えば親の財産を「信託」という形で子などに管理させる(例:・親〈委託者〉・子〈受託者=管理者〉・親〈受益者=利益を受ける人〉)

判断力がある内に契約しておく制度で、将来、認知症になったときに備えて「この人に財産管理を任せる」と事前に契約しておく

仕組み

・親の健在時に子が管理出来る

親:財産を託す→子:管理→親:利益

・親が認知症になる前から動け、

 認知症後もそのまま継続

・親が認知症になってから効力発動

 元気なうちに契約だけ

→認知症発症→家庭裁判所が監督人を選任

→後見人が管理開始

・法的に強力だが直ぐに使えない

(発動に時間)

一言でいうと

”事前に動かす“仕組み

“発症後に守る”仕組み

ポイント

・預金の管理、引き出しができる

・不動産の売却ができる

・介護費用の支払いができる

・公証役場で契約(公正証書)

・判断能力低下後、家庭裁判所が監督人を付けて開始(法定後見制度)

・預金管理、不動産管理が正式に可能

メリット

・柔軟性が高い

(使い道を自由に設計できる)

・認知症後もスムーズに管理可能

・相続対策にもつながる

法的に最も確実・金融機関も認める

デメリット

・専門家(司法書士、弁護士)の設計が必要

・初期費用あり

手続きがやや複雑・柔軟性がやや低い(自由な運用はしにくい)

どちらを選ぶ
(現場的結論)

資産を動かす可能性あり(売却・運用)

トラブル防止、安心重視

 

 

併用が最も安全(最近増えている形)

費用の目安

 

現実的な金額

総額:約50万〜120万円前後

一度作れば運用費はない

・設計相談 例 司法書士→30万〜100万円
・信託契約書作成→約10万〜30万円
・不動産 →登記費用 数万円〜

総額:初期20万円+毎月費用あり

例えば継続3年で36万〜108万円
・公正証書作成 →約2万〜5万円 
・専門家費用当初→約10万〜20万円 
    月額報酬→約1万〜3万円

 

③    財産管理委任契約(シンプルだが弱い)
元気なうちのサポート契約で、「普段から財産管理をお願いする」契約
○注意点
認知症になると無効になる可能性あり➡単独では不十分で1)の任意後見制度とセットで使うのが一般的である

④口座の事前整理・共有(最低限の準備)
誰でも直ぐ出来る対策で、やるべきことは、
・銀行口座を整理(複数→集約)・家族に情報共有(通帳、暗証番号は慎重に)・生活費用の口座を明確に
しかし、法的権限はなく→本格対策にはならないという限界があります。

⑤)遺言書の作成(直接の凍結対策ではないが重要)
役割としては、相続トラブル防止や財産の分け方を明確化することが挙げられるが、認知症になると作成   できなくなるため早目に作成することが重要である。

■結論(実務的なおすすめ)
状況別に整理すると
○最も安心・確実     ➡任意後見制度
○柔軟で現代的(おすすめ)➡家族信託
○補助的に使う      ➡財産管理委任契約+遺言

■
最後に(現実的な進め方)無理なく進めるなら
①親の意思確認(これが最重要)
②財産の把握(ざっくりでOK)
③家族で共有
④専門家に相談(司法書士が一般的)
⑤家族信託or任意後見制度を選択

 ★おまけ★ アインシュタイン(20世紀最高の物理学者)の残した心に響く名言
・「作日から学び、今日を生き、明日に希望を持て」
・「人生とは自転車のようなものだ、倒れないように走り続けなければならない」
・「人の価値とは、その人が得たものではなく、その人が与えたもので測られる」


No.14 介護シリーズ「人生最後に後悔しないために、75歳過ぎてからやるべきこと」

最近、後期高齢の75歳過ぎた方を対象に、「人生の最後に後悔しないために、何をやるべきか? 特に、何を やめるか、何を手放すか、何から離れるか」等というテーマが週刊誌や専門家の間で数多く語られています。

表1 やめることベスト10

やめること

説明

1.「まだ若い」と無理をする

年齢を受け入れ、体力に合った生活へ

2.人と比べる

他人ではなく「昨日の自分」と比べる

3.不機嫌で過ごす

笑顔や感謝は周囲との関係を良くし、自分自身も楽になります

4.わがままな生活

健康・趣味・旅行など、自分のためにもお金や時間を使う

5.「いつかやろう」と延ばす

会いたい人に会い、行きたい場所へ行くのは「今」が大切です

6. 「まだ大丈夫」と病院を避ける

早期発見・早期治療

7.過渡な節約

自分のためにもお金を使う

8.睡眠不足・運動不足

健康寿命を縮める

9.何でも一人で抱える

周囲を頼る勇気を持つ

10.完璧を求めること

七割主義で十分

表2 手放すことベスト10

手放すこと

説明

1.見栄とプライド

心が軽くなり、素直になれる

2.若さへの執着

人生が楽になる、現実的な身体の老いを意識し始めることが大切

3.過去の肩書や地位

今の自分を大切に、何時までも現役時代のことにこだわると、新たな人間関係を作るのが難しくなる

4.後悔や失敗へのこだわり

未来へ目を向ける

5.不要な<物・口座・契約>

身軽になるほど、心に余裕が生まれ、家族への負担軽減になる

6.「こうあるべき」

柔軟に生きる

7.年齢への悲観

今出来ることに目を向ける

8.お金を残すことだけへの執着

自分の幸せにも使う

9.趣味のコレクション

価値のわかる友人などに譲るなど処分を考える

10.配偶者への過度な依存

ひとりになるリスクを考え、

家事や自宅以外の居場所や助けてくれる人を見つける

表3 離れることベスト10

離れること

説明

1.愚痴や悪口ばかりの人

心が疲れ、人生が暗くなる

2.義理だけの付き合いの人

 

本当に大切な人を大切に、世間体や義理で行ってきたことから

自分を開放する

3.ストレスを感じる情報や

ニュースの見過ぎ

健康を守り、心の平穏を守る

4.孤立

人とのつながりは持ち続ける、配偶者に先に逝かれ一人になる

リスクを考え、自宅以外の居場所や助けてくれる人を見つける

5.「もう歳だから」という言葉

可能性を閉ざさない

6.ネガティブな習慣

前向きな生活へ

7.不健康な生活習慣

健康寿命を延ばす

8.自分を責めること

自分をいたわる

9.親友は作らない

何でも相談出来る深い関係の親友よりも、薄く緩い関係の知人を数名持つ方が義理などもなく負担にならない

10.サプリメント

あくまでも食事で摂る栄養を第一に考える

これらの出所及び関係機関等は以下の通り。

○世界保健機構(WHO)の「Healthy  Ageing(健康的な高齢化)」
○
厚生労働省の「健康日本21」や「高齢者  保健施策」
○
日本老年医学会の「健康長寿」に関する提言
○
九州大学久山町研究による日本の高齢者の健康提言○LIFE  SHIFT等

 

(2)75歳から生きやすくするための準備〜シニア生活文化研究所代表理事/小谷みどり氏〜

後期高齢者となる75歳からは、残りの人生を生きやすくするための準備を「始める」ことが意味を持つ。ここからの暮らしは「人生のタイムリミット」が近づくことを自覚して行動に移したいものです。75歳を過ぎたら「そのうち」「いつかやろう」はもうない。躊躇せずに会いたい人に会いに行き、やりたいことを直ぐにやる意識が心の健康を保ちます。

 

●そのために『半径5メートルの暮らし』を整えることから始めたい。

75歳以降は自立した生活を続けることが重要で、それには自宅で起こる不慮の事故を減らすことが欠かせません。事故は半径5メートルの生活圏内で生じやすく、つまずきや転倒を避けるために動線内の段差や床の片付けをして身の回りを整えることを始めたい。

 

●次に、『半径3キロに生活圏を作る』ことも求められる。

スーパーやかかりつけ医、行きつけの喫茶店など、ひとりで行って過ごせる居場所を日常的に歩いて行ける場所に持つことが大切です。近くに”行く場所“があれば、社会との接点を持ち続けられます。しかし、生活圏を維持するには、「身だしなみ」と「匂い」などについて、周囲への配慮も必要。高齢期に人間関係を維持するには清潔感を保つことが大切。そして最も重要なのが加齢臭や口臭の予防です。

■5)最後に
 人生経験豊かな方々が口を揃えて言う共通点は、「健康」・「家族や友人との時間」・「やりたいことを先延ばしに しない」ことの3つを大切にした人ほど、「いい人生だった」と感じやすいということです。そして「75歳を過ぎたら、『何を増やすか』より、『何を減らすか』が人生の質を決める。手放した分だけ、心に新しい幸せが入ってくる。」

①健康を最優先にする

⑥家族と話す時間を増やす

②会いたい人には会う

⑦財産・相続を整理する

③「有難う」を毎日伝える

⑧身の回りを整理する

④趣味を持つ

⑨毎日少し歩く

⑤笑顔を忘れない

⑩今日を大切に生きる

★★おまけ1★★
「人生最後に後悔しないための10か条」〜世界保健機関WHOの「Healthy・Ageing」、

厚生労働省の健康日本21や高齢者保健施策〜 

★★おまけ2★★  『脳に良い5つの習慣』〜篠原伸禎氏(脳神経外科医)〜

項目

説明

1.適度な運動

ウォーキングなどの軽い有酸素運動は、脳の血流を促し、神経細胞を活性化させます

2.十分な睡眠

脳の記憶の定着や老廃物の排出は睡眠中に行われます。7〜8時間の質の高い睡眠を心掛けましょう。

3.バランスの良い食事

脳の栄養源となるブドウ糖や、血管の健康を守る青魚など意識的に摂りましょう。

4.新しい刺激や脳トレ

何時もと違う道を通る、新しい趣味を始めるなど、脳に新しい刺激を与えることで前頭前野が鍛えられます。

5.人との触れ合い

人と会って会話することは、言葉を選び相手を理解する高度なプロセスであり、脳全体を活性化します。

脳を活性化させ、認知症予防にも役立たせ、健康で若々しい状態で人生を送りたいものです。

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